暖かくなってくると家のあちこちで蜘蛛が巣を作りはじめます。虫がいっぱいくっついていて見た目も気持ち悪いですし、気づかずに引っ掛かるとネバネバ・ベタベタしてイヤ~な気持ちになりますよね。いざ蜘蛛の巣を撤去するにも手や道具にまとわりつくのが面倒で、なかなか手を出せないこともあるのではないでしょうか?
今回は蜘蛛は一体どうして巣を作るのか、そしてどんなところに作るのかなど、蜘蛛の巣についての基本的な情報や、蜘蛛の巣を掃除するにはどのような方法が良いのかをご紹介します!
プロが教える蜘蛛の巣の掃除しかた
・蜘蛛はなぜ蜘蛛の巣を作るの?
本来蜘蛛はゴキブリやハエなどの害虫を食べてくれる虫であり、一部の毒性を持つ蜘蛛を除きほぼ人に害を与える虫ではありません。しかしその8本足の見た目や蜘蛛の巣が不気味で不衛生な感じがすることからあまり好まれることもありませんよね。
日本にはさまざまな種類の蜘蛛が生息しており、実はその全てが蜘蛛の巣を作るわけではありません。一般的に蜘蛛の巣と呼ばれる、糸を網状に張り巡らせてそこに引っ掛かったエサを捕まえる「造網型」と呼ばれるタイプと、蜘蛛の巣を作らずに徘徊しながらエサを捕まえる「徘徊型」と呼ばれるタイプの2種類に分かれます。家の中で蜘蛛が歩いているのを見かけることもあるかと思いますが、それは家の中の害虫をエサとする徘徊タイプの蜘蛛なので巣を作ることはしません。しかし徘徊型の蜘蛛も獲物を捕らえる時は糸を出して身動きできなくしてから捕らえます。
一方蜘蛛の巣を作るタイプの蜘蛛は、エサになる虫(蚊・蛾・ゴキブリ・ハエ等)がより引っ掛かりそうな場所に巣を作ると言われています。つまり蜘蛛の巣ができる場所とは蜘蛛にとってエサが豊富な場所、つまり蜘蛛のエサとなる害虫が多く生息している場所なのです。蜘蛛の網に獲物がひっかかると、その振動を察知して獲物にすばやく近づき、糸で巻き付けて身動きできなくして捕らえます。
・蜘蛛の巣ってどんな成分でできているの?
蜘蛛の巣を構成している蜘蛛の糸は直径1000分の5ミリほどの細さで、主成分はタンパク質。その強度は驚くべきことに鋼鉄の5倍ともいわれており、その細さで小石を持ち上げてしまうほどのパワーがあります。蜘蛛の巣には網状に糸が張り巡らされていますが、縦糸と横糸ではその構造が違います。縦糸には粘着性がなく、横糸にのみ粘着性があり、蜘蛛は縦糸を伝って歩くので自分の巣に絡まることがなく、横糸の粘着性でエサを捕らえて逃さないようにします。
・どんな所に蜘蛛の巣はできやすいの?
蜘蛛の巣は軒下・外壁・窓際・サッシの内側・押し入れの隅・天井の隅・蛍光灯のカサ・ベランダのプランターなどによく作られます。蜘蛛の巣ができる条件は主に以下の3つ。
①蜘蛛の巣が張れる足場がある
足場さえあれば蜘蛛はその8本足で器用にのぼり、天井の隅っこなどの高いところにも巣を作ることができます。
②エサとなる虫がいる
エサが集まりやすい照明器具や、日が差す場所には光に集まった虫を食べるために蜘蛛は巣を作ります。
③壊されにくい場所である
蜘蛛は作った巣を破壊されないために、できるだけ高い場所・隅っこの隠れた場所など人間が頻繁に通らない場所を選んで巣を張ります。
プロが教える蜘蛛の巣の掃除の仕方
・蜘蛛の種類は?
家にでる蜘蛛の種類は主に4種類です。
①アシダカグモ
大きいものは体長15㎝ほどにもなる、足が長く大きな蜘蛛です。この蜘蛛は巣を作らずにエサとなるゴキブリやハエなどの害虫を探して家じゅうを徘徊し、家の中にエサがなくなると勝手に出ていきます。体は大きいものの、臆病なので昼は壁と家具の隙間や天井裏などの物陰に隠れており、夜に行動します。
②ハエトリグモ
体長は1㎝程度の小さな蜘蛛で、足は短め。動きが素早くジャンプをすることもあり、海外では「ジャンピングスパイダー」とも呼ばれています。名前の通りハエなどの小型の害虫をエサとし、アシダカグモと同じく蜘蛛の巣を作らずに家じゅうを徘徊します。家の中でよく見かけられる蜘蛛はほぼハエトリグモです。
③イエユウレイグモ
体に比べて長い足で、アメンボのように全体的に線が細い感じの蜘蛛です。体長は1㎝程度ですが、足を含めるとアシダカグモと同じくらい大きくなることも。見た目が弱々しくくふらふらと歩くのでこの名前が付けられたようです。この蜘蛛は「造網型」と呼ばれる蜘蛛の巣を作るタイプの蜘蛛です。
④ジョロウグモ
夏から秋にかけて家の軒下や木の間などに蜘蛛の巣を張る造網型の蜘蛛です。大きさは数㎜から3㎝ほどで、メスは胴体部分が黄色や赤、黒といったカラフルな模様があります。
どの蜘蛛も特に人間に危害を及ぼす蜘蛛ではありませんが、蜘蛛の巣をそのまま放置しておくと害虫が引っ掛かっていたりしてやはり不衛生な感じがしますので見つけたら撤去したいものですね。
・蜘蛛の巣を取る便利な道具は?
蜘蛛の巣をホウキで取ろうとするとベタベタと蜘蛛の糸が絡みついてしまったり、天井付近などの高いところにはなかなかホウキの先が届かない、ということがよくあります。そんなときは「くもの巣キャッチャー」という道具を使うのがおすすめ。見た目はただの棒のようですが、釣り竿のように長く伸ばすことができ、先端が電動で回転するので蜘蛛の巣をしっかりからめとってくれます。長い棒の先に使わない布などを巻き付けて自作しても良いですね。
・殺虫剤は効くの?
近頃は蜘蛛専用の殺虫剤が多く販売されています。蜘蛛は殺虫剤に強い虫というわけではないので、蜘蛛用の物を使えば駆除はすぐにできます。直接吹き付けて蜘蛛を駆除したあと、蜘蛛の巣を撤去したあとに吹き付けておいて再び巣を作られるのを防ぐ待ち伏せ効果というものもあります。蜘蛛を駆除して終わり、ではなく、蜘蛛の巣が作られた場所は蜘蛛が巣を作りやすい場所だと認識して、再び作られないようにすることが必要です。ちなみにプロが蜘蛛の巣除去を行う場合も、蜘蛛の巣を撤去したあとに蜘蛛を寄せ付けにくい薬剤をコーティングしています。
屋外の場合、雨などで薬剤が流されて効果が薄れてしまう場合があります。蜘蛛の巣ができやすい場所にはこまめに殺虫剤を散布するようにしましょう。
殺虫剤を使うのに抵抗がある人は蜘蛛を殺さずに寄せ付けなくする方法をとることをおススメします。殺虫剤ではなく、蜘蛛の巣を張らせない忌避効果を持つスプレーも販売されています。さらに、蜘蛛の嫌いな匂いで蜘蛛を寄せ付けないようにすることもできます。蜘蛛は柑橘系の香りやバジル・レモングラス・シナモン・クローブなどの香りを苦手としています。また、スギやヒノキ、モミの木の香りも苦手なので、蜘蛛が苦手な香りのアロマオイルを焚いたり、水と混ぜてスプレーにして蜘蛛の巣が作られやすい場所や、蜘蛛の侵入経路となる玄関や窓の隙間に散布しておきましょう。スギやヒノキのウッドチップを置いておくのも良いですね。
また、蜘蛛はコーヒーも苦手だと言われています。そのカフェインによって神経が麻痺してしまうので、巣が上手く作れなくなります。蜘蛛がよく出るところにコーヒー豆を撒いておくと、巣が作られるのを防げます。
まとめ
蜘蛛自体は人に害を及ぼすものではなく、むしろ害虫を食べてくれる益虫ではあるのですが、やはり見た目や衛生面を考えれば蜘蛛の巣が作られるのは避けたいものですし、作られてしまったらすぐに除去をして、再び作られないような対策をしておくべきです。蜘蛛はエサとなる害虫の多く生息する場所を好みますので、蜘蛛の巣対策の前にまずは家の中や周りをきれいに掃除して、エサとなる害虫であるハエやゴキブリの駆除をすることが根本的な解決方法と言えるでしょう。