1.年末の大掃除の元とも言われる『すす払い』とは?

・どんな意味がある?

すす払いは、12月に屋内外の「すす(煤)」や塵(ちり)をはらって、大掃除することを言います。                                         「煤掃き(すすはき)」ともいいます。   「すす」と言っても、今どきはピンとこないかもですね。すすは物が燃えた時に発生する燃えカス(燃えて焦げたカス・粉)です。 その燃えカスとホコリがくっついたものもすすと呼びます。                                     エアコンやストーブがなかった昔は、室内の暖房は火を使って、いろりで薪や炭を燃やしていました。炊事でも一年中薪や炭を使います。                                                    照明用のロウソク、油からもすすが出ます。暖房用の火鉢や台所のかまどの他にも、夏の虫除けには蚊遣り(かやり)の中で青葉や木片を燃やしたりもします。そうなると、家の天井にはすすがたまる一方。                      電気やガスが普及する前までは、どの家でも天井にすすがたまっていました。             たまったすすを、お正月前に掃除するということから、すす払いが行われるようになりました。このすす払いが今の大掃除の由来になっています。

・すす払いをする日は?

すす払いを行うのは12月の後半と思っている人が多いのですが、                            伝統的には12月13日がすす払いの日です。すでに平安時代には行われていたすす払いを、12月13日に行うようになったのは江戸時代から。江戸時代、江戸城では12月13日にすす払いを行っていました。                 1年間の汚れを払い、隅から隅まできれいにすると、歳神様がたくさんのご利益を持って降りてくるといわれていたことから、江戸城では城内や神棚のすす払いを12月13日の日程で行うようになったのです。                 江戸城で行われるすす払いが12月13日だったことから、民間の多くも12月13日をすす払いの日としました。そこから、庶民のあいだにも、12月13日がすす払いの日として定着したのです。

・すす払いをする理由は?

12月13日を「正月事始め」と言い、お正月の準備を始める日で、この日に門松にする松を山に取りに行く松迎えや、お雑煮を炊くための薪を山へ取りに行く日でもあったのです。すす払いもその一つで、お正月に年神様をお迎えするため、神棚や仏壇を清めていたのです。普通の掃除というよりは、信仰の一種として始まった行事でした。                 因みに、すすとは火を起こした時に出る煙に含まれている黒い粉のことを言います。昔は囲炉裏を使っていたので、すすで家中が真っ黒になりました。

 

2.『すす払い』と『大掃除』の違いは?

  • 大掃除……年末に大々的に片付ける掃除
  • すす払い……宗教的な儀式

となります。                                        すす払いは今の年末の大掃除に相当しますが、生活する上で必要に迫られてするようなものではありませんでした。                   すす払いは単なる大掃除ではなく、『歳神様を迎える』という、新年を迎えるにあたってのお浄めの儀式のようなものです。           いわば神事のような意味合いを持ちます。 伝統的なすす払いの日は12月13日。        昔は、この日に、神棚と仏壇の掃除のみを行い、家の内外の掃除は、それ以降の日に行っていました。まず、すす払いを行ってお浄めをしてから他のところの掃除を行ない、家がきれいになったら、お正月の準備に注連縄(しめなわ)を張ったり、松を飾ったりしたのです。                                                 これがやがて、暮れの大掃除という形になっていったのですが、現在では宗教的な意味合いはすっかり失われていますね。                今でも神社やお寺では、毎年の恒例行事としてすす払いをしています。すす払いの様子はニュースなどでも取り上げられるので見たことがあるかもです。

・大掃除をする意味は?

日本には古くから一年の福徳を司る神様がおり、それぞれのお家に年のはじめ(元日)に訪れるという信仰がありました。歳神様(としがみさま)」や「歳徳神(としとくじん)」と呼ばれる神様ですね。現在はお正月と言えば神社に初詣に行くイメージがありますが、古くは元日にお家まで来てくれていたのです。地域差もありますから一概には言えませんが、大晦日の夜から元日にかけての期間は「年籠り」と言って、家もしくは寺社で一年の感謝を捧げながら神様をお待ちする期間とされていました。                                  年末のご挨拶として使われる「良いお年を(お迎え下さい)」という言葉も、元々は“来年が良い一年になりますように”という意味ではなく、しっかり準備をして年神様をお迎えしようねという意味合いだったと言われていますよ。

・大掃除はいつすると良い?

大掃除を開始するタイミングとしては、12月13日以降が良いと言われています。これは江戸時代と同じく「鬼の日」か歳神様を迎える準備開始に良いと考えられるため。現在は暦が変わっていますから13日が鬼にはなりませんが、正月事始めの日として定着していますね。一年辛いことが多く「来年こそは…!」という方は、カレンダーで12月半ば頃にある鬼宿日を探して開始日にしてみても良いかもしれません。                          暦が変わっただけではなく、現在は働き方も様々。「この日が良い」と言われても仕事で出来ない事もあるでしょう。なので12月13日から28日までの約二週間を使って、時間が取れるときにちょこちょこと普段しない部分のお掃除をしていくのが無難です。そして30日を予備日として間に合わなかった所・使用頻度が高く二週間くらいの間に汚れてしまう所をさっと掃除するようにしましょう。年末年始休みがしっかりとれる方は28日と30日の2日間で徹底的に掃除をするという手もありますが…疲れてしまったり間に合わないところが出てしまう可能性もあるので、出来るところからキレイにしていくのがオススメですよ。慣例だからと義務感で嫌々掃除をするのではなく、今年一年の厄払い・来年の運気アップと考えるとモチベーションも上がりそうですね。

3.まとめ

新年に年神様としがみさまを迎えるにあたって、家の内外の煤(すす)や塵(ちり)を払い、清掃する行事。煤掃きともいいます。平安時代にすでに行われていたといわれています。12月13日に行うようになったのは江戸時代から。江戸城は12月13日が煤払い日でしたので、民間でも多くが13日を煤払いの日としていました。単なる年末の大掃除とは違い、年神様を迎える準備のための信仰的な行事でした。正月を迎える物忌みの始まるのが13日で、そのための清掃だったのです。